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児童期の夜尿症

子どもの夜尿の原因は性格の問題や育て方の問題だと言われますが、これは誤った考え方です。
乳児期の夜尿(いわゆる「おねしょ」)は身体の未発達のため排尿のメカニズムが確立されていないことが原因ですが、6歳(学童期)以降の夜尿は身体の未発達以外の原因も考えられます。
生活指導や生活習慣の見直しを試みても、夜尿が改善されないようであれば適切な医療機関を受診するようにしてください。

 

学童期の夜尿症の原因

水分の多量摂取 摂取した水分が尿として排出されるまでに3〜4時間かかります。夕食後から就寝前までに水分を多量摂取すると、夜間に多尿となり、夜尿する場合があります。

 

睡眠の影響

おつきさま

睡眠中に尿意を感じると目が覚めてトイレに行き排尿しますが、中には目が覚めない子どももいます。尿意を感じても覚醒できないのは睡眠が深いためで、特に問題はないとされています。 心的ストレス 家庭や学校生活の中でストレスを感じている場合や夜尿すること自体がストレスになっている場合もあります。また、親が子どもの夜尿を気にしすぎて、子どもに過度な不安やストレスを与えてしまい、夜尿症を悪化させる場合もあります。



 

就寝時の冷えや寒さ

 

冷えに注意したい就寝時に身体が冷えると、膀胱が緊張し、尿が漏れやすくなります。また、寒さが刺激となり交感神経のはたらきが強くなり、排尿を促します。 夜間膀胱容量が小さい 膀胱が未発達のため夜間膀胱容量が小さいことが挙げられます。乳児期と異なり、学童期以降は膀胱容量が増えるため、学童期以降でも膀胱容量が小さい場合は不安定膀胱の可能性があります。

 

身体臓器の器質的な異常

膀胱や腎臓などに器質的な異常(諸器官に病理的・解剖的な異常が生じたことにより引き起こされる異常)によって夜尿することがあります。夜尿だけではなく尿漏れや失禁など昼間遺尿症の症状がある場合は、器質的異常が原因となることが多いと言われています。



 

男児の方が夜尿しやすい

男の子学童期は女児よりも男児の方が成長が遅いため、夜尿する子どもが多い傾向にあります。また、排尿機能の発達だけでなく、尿道の成長が関係しています。男児は成長すると、尿道が長く、曲がった状態になるので、夜尿しにくくなると言われています。

 

夜尿症と遺伝

夜尿症は遺伝の可能性が非常に高く、両親に夜尿歴があれば、その子どももほぼ夜尿症になると言われています。両親ともに夜尿症だった場合は75%以上、片親の場合は40%以上、両親とも夜尿症でなかった場合は15%の確率で子どもは夜尿症になるという調査結果もあります。夜尿が治らないと悲観せず、両親の夜尿症が解消した年齢頃までは経過観察してください。

 

思春期以降の夜尿症

思春期を過ぎると身体も発達とともに、排尿メカニズムが確立し、ホルモンバランスの分泌も安定してくるため、夜尿症も自然と完治することが多いです。思春期を過ぎても夜尿が解消されない場合は、膀胱や腎臓などに器質的な異常や基礎疾患が隠れている可能性があります。

 

そのまま放置しても夜尿が解消することはないので、しかるべき医療機関に受診し、その原因の解明と早期治療を受けることが望ましいです。しかしながら、思春期を過ぎても夜尿している子どもは夜尿していること自体を恥ずかしいと思っているので、医療機関で受診する際は親御さんがきちんと説得し、フォローしてあげてください。

 

また、本人が夜尿を気にしてしまい、それがストレスとなり夜尿症が悪化することもあります。夜尿に対するコンプレックスを抱かないように家族や周囲の人のあたたかい理解と協力が必要になります。